慢性疼痛とは、腰痛、偏頭痛、関節炎、癌などのために、日常生活に支障を来すような疼痛が、6カ月以上続いている状態である。
急性痛は身体への障害の警告としての意味がある。
慢性痛はその意味がなくなった後も続く。
身体因がない痛みということで、従来「心因性疼痛」といわれてきた。
ICD−10(1992)で「持続性身体表現性疼痛障害」という病名に変更された。
慢性痛を持つ患者の多くが精神的な抑鬱状態にあり、家庭生活や職場上でのストレスを経験している 。
慢性疼痛と抑うつはコインの裏表のように密接な関係がある 。
慢性疼痛そのものが抑うつの等価症であるという考え方もある 。
苦痛とは痛みとそれに必然的に伴う苦悩を合わせた言葉である 。
痛みは多くは苦悩を伴うが、両者が解離することもある 。
苦悩は、疼痛の閾値を下げ、実際痛みを起こすことがある(精神痛) 。
第34回日本ペインクリニック学会シンポジウム「日本でのMultidisciplinary pain clinic」(2000年7月14日東京)では、慢性疼痛は、炎症などの肉体的な痛みの原因を除去しただけでは改善しない。身体の痛み、心の痛み、社会的な痛み、霊的な痛みの4要素を頭に入れて治療しなければならない。多職種(麻酔科医、ソーシャルワーカー、臨床心理士、精神科医ら)による総合的な治療の関与が必要である。
「慢性疼痛の治療には精神的なケアも含めた全人的な治療が必要」という点で意見が一致した。